この事件は妻の勤務先の市場調査会社が突然会社都合により妻へ解雇を言
渡したことから、妻に対する未払賃金と解雇予告手当金を請求して、市場
調査会社を相手に訴訟未経験の妻を補佐し支払督促を申立てた事件です。
原因は、市場調査会社の一役員の飲食等の交際費支出に対する法人税法上
も冗費節約の上からも会社業務に関係ない交際費支出を抑制したことから
です。
経理を担当していた妻が、一役員の飲食等の交際費支出に会社経費とは認
めがたい支出分を除外したことから役員の反感を買ったあげくのことでし
た。
法人税法上の交際費等は中小企業には600万円×90%までしか損金参
入が認めておられず、それを超える金額は全額課税対象として扱われるの
です。
支出した交際費等の上にさらに税金が掛けられるという極めて過酷なもの
で、刑法の贈収賄罪を補完するものではないかとも思われます。
ただし、飲食等の交際費支出が1人当り5千円以下なら全額損金扱いとな
り、1人当り5千円を超えると全額が600万円の対象になります。
また2次会・3次会等にわたった場合でもそれぞれが別々の飲食店等を利
用したのであればそれぞれ1人当り5千円以下なら全額損金扱いになりま
す。
妻は雇用保険被保険者離職証明書等を作成し職業安定所に届け出て、短期
間に督促資料を揃えました。
未払賃金が312,565円・解雇予告手当が176,708円・合計489
,735円の支払を求めて、平成15年9月8日に東京簡易裁判所民事第
7室に支払督促申立書を提出いたしました。
平成15年9月16日に東京簡易裁判所から債務者の市場調査会社宛てに
支払督促が発付されました。
債務者から異議申立はなく調停前の平成15年10月2日債務者から債権
者の銀行口座へ489,735円が振込まれ、債権者は東京簡易裁判所に
訴えの取下書を提出いたしました。
今回思い知らされたことは、人間関係は誤解から確執が生じること、そし
て確執が災いをもたらすことにもなることでした。
一方通行の人生に注意し過ぎる事はありません。