この事件は、現在居住している土地・建物の前所有者が破産宣告を受け東
京地方裁判所の競売にかけられ、競売落札後の物件引渡しを申立てた事件
です。
競売落札後に土地・建物の引き渡しと、建物内に残置されている第3者所
有名義の事業用動産の撤去を求めて強制執行に訴えたのです。
落札物件の買受人が土地・建物の所有権移転登記を受けて所有権を有する
立場から申立人になり、前所有者を相手方に平成14年9月20日東京地
方裁判所民事第21部へ不動産引渡命令申立書を提出いたしました。
平成14年9月24日には不動産引渡命令が申立通りに下り、相手方にも
不動産引渡命令が送達されましたが相手方からは何の反応もありませんで
した。
平成14年10月8日東京地方裁判所執行官へ強制執行申立書を提出いた
しました。
この間に、落札建物内に残置されている事業用動産の第3者所有名義につ
いて調査しました。
落札不動産の前所有者が同所で事業を営んでいた当時に破産宣告を受けた
後、新たに別会社を設立し、従業員であった者を代表者に据え、事業用動
産を設立新会社へ無償譲渡していたのです。
このことは、事業用動産を別会社へ移しその搬出運搬費用をも捻出する狙
いではと推測されました。
警察署へ相談に訪れ、応対した刑事は自己の名前を使ってもよいから、落
札不動産の前所有者と設立新会社代表者に落札建物内の残置動産を如何す
るつもりか聞いて来るよう促されました。
実行したところ第3者名義事業用動産の所有者から電話があり所有権を主
張してきましたが、所有者は破産者の元従業員で会社ぐるみだと指摘した
ところ電話は切られました。
平成14年11月13日に申立人立会のもと、落札不動産の前所有者が落
札物件に残置する動産並びに第3者所有名義事業用動産を搬出していきま
した。
このような不法行為の疑いがある案件ならば、警察も協力して下さること
を知りました。
強制執行を続行していたならば、長期間の日時とかなりの費用を要したこ
とと思われます。
強制執行申立書は取下げました。