この事件は、インターネッ取引での日経225ミニ先物取引による売り建
て分に対する買い戻し発注分が、証券会社のコンピューターシステムに障
害が発生したことにより消し飛んだことが原因です。
消し飛んだ買い戻し発注分に対して改めて買い戻し発注をして決済しまし
たが、証券会社が消し飛んだ従前の買い戻し発注分を復活計上させたこと
で争った事件です。
取引証券会社の法務担当者から電話にて「コンピューターシステム障害の
回復により欠落した注文を復活計上します、この件は日本証券業協会にも
報告済です。」と通告され消し飛んだ買い戻し発注分が復活計上され取引
順番が変えられてしまったのです。
取引証券会社の取引報告書には当初改めて買い戻した発注分で決済されて
いたのですが、それを変更され改めて買い戻し発注分が新たな買い建て注
文として記載されたことで、月次取引残高報告書には57,584円の損
失負担増を強いられていたのです。
取引証券会社からの月次取引残高報告書に対する回答書に異議申立の返答
をしたところ、取引証券会社は欠落注文分を取消した上で返却すべき債務
は54,584円であると、平成21年3月23日に東京簡易裁判所民事
第3室に債務不存在確認請求申立をしたことで訴えられた事件です。
平成21年5月12日に東京簡易裁判所法廷で裁判官は双方主張の金額差
が3,000円であることから法廷司法委員の1人に調停を引き継がれ、
場所を別室に移して話合いの結果、被告主張金額の57,000円で和解
が成立し、訴訟費用は各自負担となりました。
取引証券会社は有価証券報告書等の虚偽記載に当るのではないかとの疑惑
から、金融庁に「法令等尊守に関する情報」としてこの間の事情を資料を
添えて報告しましたところ、しばらくしてから証券会社の社名変更通知が
届きました。
一般投資家の大方は投資で損失をこうむり、不本意ながらも市場から撤退
せざるを得ない様相です。
経済を発展させる上からも、証券会社には一般投資家を疎略に扱わないよ
う願いたいものです。