この事件は、平成23年10月27日境界確定請求事件判決、
①被告建物軒・庇の越境部分の収去土地明け渡せ。
②被告コンクリートたたき越境部分の収去土明け渡せ。
③被告給湯器の越境部分の収去土明け渡せ。
に被告が従わなかったことが原因です。
被告は①②③の越境部分の収去土明け渡しを履行中途で中止し強制執行妨
害柵を設置したことから訴えたのです。
被告は判決が確定する前から越境部分の収去土地明渡し命令に反して、被
告の独断で自己の主張する境界線に有刺鉄線張り鉄パイプ柵を設置し、強
制執行妨害に及んだのです。
原告は隣接地には立入ることが不可能になり被告の収去土地明渡し履行の
確認が出来なくなりました。
被告の収去土地明渡しは履行中途半端な状態である証拠をつかんだことか
ら、東京地方裁判所民事21部執行官のもとへ相談に訪れました。
有刺鉄線張り鉄パイプ柵が判決文に記載がないことから、強制執行は出来
ないこと、被告の意思で収去土地明渡しを履行させるには間接強制がある
こと、を教えて頂きました。
間接強制とは債務を任意で履行しない債務者に対して、一定の期間内に履
行しなければ制裁を課すということを通じて、債務者の意思に強制を加え
て債務実現を図る強制執行の方法です。
平成24年3月26日東京地方裁判所民事21部に間接強制申立書を提出
いたしました。
申立は、次の通りです
①債務者建物の軒・庇の越境部分を収去土地明け渡せ。
②債務者のコンクリートたたきの越境部分を収去土地明け渡せ。
③債務者の給湯器の越境部分を収去土地明け渡せ。
④間接強制決定送達日から14日以内に履行無いときには、翌日から履行
済迄1日に付6,215円を支払え。
有刺鉄線張り鉄パイプ柵により立入り不能になった債権者の土地には、水
道メーター・水道配管・ガスメーター・ガス配菅・給湯器・エアコン除湿
排水管が在ります。
それらの保守点検・故障修理が出来なくなり、それらの機器が使用不能に
なれば場所を変えて新たな機器を設置しなければならなくなったのです。
それらの機器の取得金額と使用不能になった土地評価額に金利を加え賠償
金額を算出しました。
後に債権者は意見書の中で、債務者の越境部分の収去土地明け渡し履行と
引換に、債権者が境界線に境界標境界石埋設と同時に取得時効完成後の原
告水道メータ越境部分を収去すると提案しています。
債務者は新たに弁護士を代理人にたて、債務者建物の軒・庇・コンクリー
トたたき・給湯器の越境部分の収去土地明渡しは履行済であるとした意見
書を提出してきました。
しかし、債務者の反論期限が過ぎていたことから裁判官から呼び出しを受
け指摘されました。
5月7日に債権者の申立通りに決定が下りました。
この決定に対し、債務者は境界確定請求事件判決・間接強制申立事件判決
の履行は済んでいるとして、
①強制執行は許さない。
②判決の履行は済んでいるにもかかわら、間接強制により精神的損害への
賠償100万円を支払え。
③訴訟費用は被告の負担とする。
との抗告事件を提訴してきました。
これは別案件ですので別途記述いたします。
この裁判で分かったことは、判決があれば相手の意思に関係なく強制執行
が出来ることです。
強制執行は不動産等を占拠する人や物を強制退去・撤去・処分が出来る公
権力の行使です。