(15)所有権に基づく妨害排除請求事件

 

この事件は、平成24年請求異議等事件での被告水

道メーターの1部が原告土地に越境して20年余経

過し取得時効が完成しておりましたが、原告が土地

の所有権に基づき被告水道メーター越境部分の排除

を求めて代理人弁護士を立て訴えてきた事件です。

 

訴えの趣旨は、次の通りです。

①水道メーターの越境部分を収去せよ。

②訴状送達の日から収去するまでの間月1万円の割

 合による金員を支払え。

③訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに仮執行宣言を求める。

 

被告答弁書は、次の通りです

①原告の請求はいずれも棄却する。

②訴訟費用は原告の負担とする。

との判決を求める。

 

その根拠は、次の通りです。

①水道メーターは前所有者が建物新築以降20年以

 上経過し、被告が取得してからも既存状態のまま

 善意無過失で10年の占有が経過しており、水道

 メーター越境部分の土地の取得時効は完成してお

 り所有権を主張する。

②原告主張の②は前項により否認する。

 

原告は、次の通り反論してきました。

①請求異議等事件において被告準備書面で水道メー

 ター部分の土地取得時効の権利を放棄している。

②境界確定請求事件判決の原告越境部分を収去土地

 明渡し完成後に適時適切に収去するとしている。

③被告は建物取得時に、無過失による占有開始とは

 認められない。

 

被告準備書面にて水道メーター部分の土地の取得時

効の権利を放棄すると述べたのは条件付であり、水

道メーター越境部分の収去と引換に境界点に境界標

・境界線に境界石を埋設することに原告の同意と協

力を得ることが文面の意図するところであると反論

しました。

法律に素人の被告の言葉尻を原告に逆手に取られた

ことは錯誤に当たるものであり、被告の真意に反し

てまでも原告には被告の真意に対する錯誤無効を主

張することはできないものであると反論しました。

裁判は平成27年2月10日第1回から平成27年

4月28日の第3回までで終わりました。

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判決は、次の通りでした。

①被告は水道メーター越境部分を収去せよ。

②原告のその余の請求は棄却する。

③訴訟費用は2分の1を原告が負担とする・2分の1

 を被告が負担とする。

④第1項に限り仮執行ができる。

 

この判決に被告は、水道メーター越境部分の取得時

効完成後に、境界標・境界石の埋設を前提の時効利

益放棄の意思表示の一言をもって取得時効が認めら

れなかったことに、民法95条(錯誤)の適用で合理的

理由の有無を争うことを検討いたしました。

 

然し、原告のみに越境部分の収去土地明渡しをさせ

て終われば、原告に公平を欠くと受け取られ、恨み

を買うばかりではと考えて、不満は残りましたが判

決を受け入れることにいたしました。

 

平成27年5月22日被告は、原告代理人弁護士の

立会のもと越境水道メーターを撤去して、収去は完

了いたしました。

 

撤去跡敷地に新規水道メーターを設置しました。

その後原告から訴訟費用2分の1の請求は無く、

被告も同様訴訟費用を請求しませんでした。

 

裁判を受ける権利は、訴訟の当事者が訴訟目的の

権利関係につき裁判所の判断を求める法律上の権

利を有する場合、裁判所においてのみ裁判を受け

る権利を保障したものです。

 

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